家の片づけや親の暮らしを見直す機会があると、思いがけず出てくるのが「大量の小銭」です。
特に高齢の親世代では、買い物でお釣りをもらうたびに貯金箱や空き瓶に入れていたというケースが多く、気がつくと数千枚、あるいはもっと多くの硬貨が溜まっていることも珍しくありません。
この記事では、実際に私の高齢の母が貯めていた大量の小銭を整理した体験をもとに、できるだけ手数料をかけず、安全に預ける方法を詳しくご紹介します。

私が実践したのは、手数料がかからない「銀行のATMで100枚ずつ預ける」方法です。時間はかかりましたが、大量の小銭が家からなくなってすっきりしました!
目次
家にたくさんの小銭が溜まっていて困った…
部屋を片付けていたら出てきた大量の小銭たち
小銭が溜まってしまう状況は、意外と誰にでも起こり得ます。特に高齢の方は「とりあえず取っておこう」と思って小さな容器などにお釣りを入れる習慣があり、それが長年続くと、大量の硬貨となって積み重なっていきます。
私の母も日々の買い物の中で、10円玉や1円玉を受け取るたびに袋に入れており、気づけば1000枚以上の硬貨が詰まっていました。

たまった小銭を袋で計りました。袋の重さを引いても、1605グラム…。小銭がこれだけ溜まると「なんとかしなくては」という思いが強くなるもの…。
しかし、使い切ろうと思っても買い物先で大量の小銭を使うのは難しく、ATMや銀行に持ち込むにしても、どこにどう持っていけばいいのか、手数料はかかるのかなど、情報が曖昧なままだと行動に移しづらくなります。
みんなどうしてる?ネットの知恵袋などでよくある溜まった小銭の質問と回答
我が家にある小銭をどうするか…、最初にやったことはネット検索でした。
検索結果をみていると「小銭がたくさんあるけど、どうすればいいのかわからない」という悩みは、SNSや知恵袋などでも頻繁に見られます。
Yahoo!知恵袋や掲示板などでは、「ATMに硬貨を入れようとしたらエラーになった」「両替に行ったら高額な手数料を取られた」といった体験談が寄せられています。中には、コンビニで一枚一枚使っていくという地道な方法を選んだ人もいました。
このような投稿に対する回答には、「ゆうちょ銀行のATMなら無料で入金できることがある」「枚数制限を超えると手数料がかかるので注意」といった、実用的なアドバイスも多く見られます。経験者の声は、実際に行動する前の参考になります!
ですが、ネット情報の中には、古い情報や一部地域にしか当てはまらないものも含まれているため、最終的には公式サイトなどで最新のルールを確認することが大切です。
実際に各銀行を調べたところ、昔と今では窓口やATMでの取り扱い方法が変わっていました。
小銭が溜まりやすい原因と、日ごろからできる工夫
そもそも、小銭が家に溜まりやすくなるのは、単なる習慣の問題だけでなく、生活スタイルにも関係しています。現金での買い物が中心で、なおかつ電子マネーやクレジットカードをあまり使わない方の場合、小銭は自然と増えていきます。
また、レジでの支払いをスムーズに済ませようとすると、細かい金額はそのまま受け取ってしまいがちです。
このような小銭のたまり方は、高齢の方ほど顕著になります。特に「1円玉は使いにくい」「財布に入れておくとかさばる」といった理由で、貯金箱に回されることが多いようです。まさに、私の母がその状態でした。
小銭を溜めないように日ごろからできる工夫としては、まず買い物時に小銭を積極的に使うこと、財布の中の小銭をこまめに整理することなどが挙げられます。
ちなみに、日本には硬貨の使用枚数に関する法律があります。
通貨法「第七条 貨幣は、額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する。1」と規定されており、21枚以上の硬貨を使った支払いについては、店舗側が受け取りを拒否することができるのです。
手数料なしで小銭を預けたい!おすすめの銀行とサービス
小銭の入金で手数料がかからない銀行はどこ?
小銭をまとめて銀行に持っていこうと考えたときに、まず気になるのが「手数料がかかるのかどうか」です。
昔は銀行の窓口やATMでの硬貨の預け入れは基本的に無料でしたが、最近はルールが見直され、一定枚数を超えると手数料がかかるケースが増えています。
ゆうちょ銀行と三大メガバンクの小銭対応を比較
ゆうちょ銀行(2025年5月現在)
■窓口での取扱料金
硬貨枚数 | 料金 |
1~50枚 | 無料 |
51~100枚 | 無料 |
101~500枚 | 550円(税込) |
501~1,000枚 | 1,100円(税込) |
1,001枚以上 | 500枚毎に550円(税込)加算 |
■ATM硬貨預払料金での預入取扱料金
(ゆうちょ銀行店舗内や郵便局内に設置しているATM)
硬貨枚数 | 料金 |
1~25枚 | 110円 |
26~50枚 | 220円 |
51~100枚 | 330円 |
※利用可能時間:平日7:00~18:00
※ATMでの硬貨の取扱いは、1回のお預け入れにつき100枚まで。
※複数回に分けて手続きをされる場合、1回の手続きごとに料金がかる。
参考URL(ゆうちょ銀行):
https://www.jp-bank.japanpost.jp/news/2023/news_id002035.html
https://www.jp-bank.japanpost.jp/kojin/access/atm/kj_acs_atm_goriyo.html
みずほ銀行(2025年5月現在)
■窓口での取扱料金
硬貨枚数 | 料金 |
1~100枚 | 無料 |
101~500枚 | 550円(税込) |
501~1,000枚 | 1,320円(税込) |
1,001枚~ | 1,980円(税込) ※以降500枚毎660円を加算 |
※一度の取引で伝票を複数枚に分けて取引をした場合は、合算した硬貨枚数に応じた手数料になります。
■ATMでの硬貨入出金
(みずほ銀行店舗内に設置されているATM)
硬貨枚数 | 料金 |
一度に入金いただける硬貨の枚数 100枚まで | 無料 |
※利用時間:平日8時45分~18時00分、かつATMコーナーの営業時間内
※上限枚数を超えた硬貨の取扱は回数を分けて対応可能
参考URL(みずほ銀行):
https://www.faq.mizuhobank.co.jp/faq/show/732
https://www.mizuhobank.co.jp/rate_fee/coin_handling_fee.html
三井住友銀行(2025年5月現在)
■窓口での取扱料金
硬貨枚数 | 料金 |
300枚以下 | 無料 |
301~ 500枚 | 550円(税込) |
501~ 1,000枚 | 1,100円(税込) |
1,001枚 以上 | 500枚につき、550円加算 |
※1日に入金した硬貨の合計枚数に応じて手数料が必要。
■ATMでの入金
(三井住友銀行の店舗内ATM)
硬貨枚数 | 料金 |
1回に投入できる硬貨は100枚 (※500円硬貨は75枚) | 無料 |
※取扱時間:平日8:45~18:00のみ。
※回数に上限なし。枚数を超過する場合は、回数を分けて投入。
参考URL(三井住友銀行):
https://qa.smbc.co.jp/faq/show/1936?site_domain=default
https://qa.smbc.co.jp/faq/show/6118?site_domain=default
三菱UFJ銀行(2025年5月現在)
■窓口での取扱手数料
硬貨枚数 | 料金 |
100枚まで | 無料 |
101枚以上500枚まで | 550円(税込) |
501枚以上1,000枚まで | 1,100円(税込) |
1,001枚以上 | 1,650円 ※以降、500枚毎に550円を加算 |
※1日に複数の支店で同一口座に入金の場合には、それぞれの支店で取引した硬貨枚数に応じた手数料が必要。
■ATMでの入金
(一部の店舗外ATMコーナーを除き、三菱UFJ銀行全店のATMで利用可能)
硬貨枚数 | 料金 |
1回に投入できる硬貨の枚数は100枚まで | 無料 |
※取扱時間:平日 8:45~18:00
※入金回数に上限はなし。上限枚数を超過する場合は、回数を分けて投入可能。
参考URL(三菱UFJ銀行):
https://faq01.bk.mufg.jp/faq/show/4425?site_domain=default
https://www.bk.mufg.jp/tesuuryou/sonota.html
手数料は銀行によって異なる
ゆうちょ銀行とメガバンクでまとめましたが、銀行により手数料が異なることがわかります。
「ATMで小銭が扱えるか」「無料の上限枚数は何枚か」などの条件をあらかじめ確認しておくことが大切です。
上記を踏まえ、メガバンクでのATMでの硬貨入金については…
①1度に投入できる硬貨は100枚
②無料で入金できる
③1日の投入回数に制限はない
つまり、ATMで100枚ずつ硬貨は投入でき、(ATMが混んでいなければ)当日に何度でも無料で入金できることがわかりました。
ATMで小銭を預ける手順と注意点
ATMでの入金時に注意したいポイントと対策法
メガバンクでのATMなら、条件次第で無料で小銭を預けることができることがわかりましたが、実際に入金する時の注意点があります。
①ATMが空いてる日時・時間帯に行く。
100枚以上の硬貨を入金する場合、ATMでの取引を数回程度する必要性があります。
ATMが混んでいると、取引回数が制限される場合がありますので、給料日の午前10時前や、10日・15日・25日などの給料日の前後は避けた方が良いです。
②汚れている硬貨がないか、硬貨以外が紛れていないか、事前に確認しておく。
これは、ATMで小銭を預ける際に必ず行ってほしい大切な作業です。というのも、汚れた硬貨や異物が混入すると、ATMの故障やトラブルの原因になることがあるからです。
実際、私も汚れた硬貨を入れてしまい、ATMが停止してしまった経験があります。
「お取り扱いできません」の表示が出たため、備え付けの電話で事情を伝えると、すぐに銀行の方が来て対応してくれました。5分ほどで復旧しましたが、原因は「汚れた硬貨が詰まっていたため」とのことでした。
「今後は硬貨の状態を確認してからご入金ください」と丁寧に教えていただき、大事には至りませんでしたが、まさか小銭に問題があるとは思ってもいませんでした。
帰宅後、家にあった小銭を見直したところ、汚れた硬貨、硬貨以外のものなど、さまざまなものが混ざっていました。

写真は実際に家にあった小銭の一部です。
「1」「2」は汚れが激しい硬貨です。「2」が原因でATMを停止させてしまいました。
「3」に至っては、PARKING COINと書いてあり硬貨でもありません。
「4」は、これは昭和24年発行の5円玉です。「穴のない5円玉」として知られており、やや珍しいものかもしれません。ただし、状態があまり良くないため、希少価値はそれほど高くない可能性もあります。
このように、変形・汚れの激しい硬貨が混ざっていました。ATMでの入金前には、こうした異物や状態の確認がとても重要です。
この経験以降、私は中性洗剤を溶かした水で硬貨を軽く洗い、状態を確認してからATMに入金するようにしました。
みずほ銀行ATMで硬貨を扱う際の基本情報
もともとみずほ銀行に口座があったので、家にあった硬貨はそちらに預けることにしました。
まず、みずほ銀行のATMでも、すべての機械が硬貨の入金に対応しているわけではありません。以下の点を事前にチェックして店舗に行きました。
・硬貨対応ATMの場所:店舗併設のATM(一部)でのみ対応。駅ナカやコンビニ設置のATMは硬貨非対応です。
・利用時間:平日の日中、時間帯が限られることがあります。
詳細は公式サイトの「ATMでの硬貨の取り扱い」ページで最新情報をご確認ください。

■みずほ銀行ATMで硬貨を預ける手順
以下に、みずほ銀行の硬貨対応ATMを使った入金の流れをご紹介します。
① キャッシュカードを挿入
ATMにキャッシュカードを入れて、暗証番号を入力します。
②取引内容から「お預入れ」を選ぶ
画面のメニューから「お預入れ」をタッチします。
③硬貨の投入案内を待つ
「硬貨をご投入ください」と表示されたら、ATMの硬貨投入口に硬貨を入れます。
※一度に入金ができるのは、100枚です。100枚以上を入れた場合は、枚数の読み取り後に返金されます。
④ 金額と枚数を確認
ATMが自動で読み取り、画面に金額と枚数が表示されます。内容を確認して「確認」ボタンを押します。
⑤キャッシュカードを受け取る
入金が完了すると、キャッシュカードと取引明細票が出てきます。忘れずに受け取りましょう。
さらに硬貨を預ける場合は、再度①~⑤の手順を繰り返すことで入金可能です。
ただし、ATMの利用には時間がかかることもあるため、後ろに順番待ちの方がいないか確認し、譲り合って利用するよう心がけましょう。
手数料はかからないが、時間は少しかかる
5回の操作で500枚程度の硬貨分、合計600円ほどを預けられました。ただし、ATMの操作には多少の時間がかかります。
通常、ATMでは紙幣の入出金が主流ですが、硬貨の場合は「枚数の確認」作業が加わるため、処理にやや時間を要します。ATM内部では、硬貨が転がるようなじゃらじゃらという音がしばらく続き、紙幣の処理と比べて体感的に倍ほどの時間がかかる印象でした。
それでも、入金手数料は一切かかりません。時間に余裕があるときであれば、非常に便利な方法だと思います。

まとめ:小銭の整理は、親の思い出と向き合う時間でもある
高齢の親が長年かけて貯めてきた小銭。見た目にはただの「使いにくいお金」かもしれませんが、その背景には節約の習慣や、毎日の暮らしの積み重ねがあります。
今回の体験を通して感じたのは、ただお金を預けるだけでなく、その人の生き方や記憶に触れる時間でもあるということです。
大量の小銭の処理には、手間と時間がかかります。けれど、適切な方法を知っていれば、手数料をかけずに整理することもできますし、家庭での活用や家族との新しい習慣づくりにもつなげられます。
もし、あなたのご実家にも眠っている小銭があれば、ぜひ一度目を向けてみてください。ただ片づけるだけでなく、親の暮らしを見つめ直すきっかけにもなるかもしれません。